グループや楽曲、コンサートごとに綿密に練られたコンセプトがあり、独自の世界観を作り出しているK-POPアイドルたち。そんなアイドルたちの世界観の決め手のひとつになるのが、ステージ衣装ではないでしょうか。
昨年大ヒットを記録したRed Velvetの「Feel My Rhythm」では、クラシックの楽曲をサンプリングして作られた楽曲にぴったりなバレリーナ風衣装が美しすぎると話題を呼びました。夢幻的でディテールまで非常に華やかな衣装は、K-POPを代表する伝説のステージ衣装のひとつです。
Red Velvet – Feel My Rhythm l SBS Inkigayo Ep 1132 [ENG SUB]
ステージ衣装は既製品をアレンジしたものであることも多いですが、このように既製品では表現できないイメージの場合はデザイナーが直接衣装をデザインし、オーダーメイドの衣装を作り上げます。アイドルたちのきらびやかな衣装はどのようにして作られているのでしょうか。
K-POPアイドルたちの豪華絢爛な衣装を数多く担当してきた、Dénicheurのソ・スンヨンデザイナーがその過程を公開しました。
ソ・スンヨンデザイナーがこれまで手掛けた作品
Red Velvet「Feel My Rhythm」衣装
IVE「LOVE DIVE」衣装
BTS(防弾少年団)「Black Swan」衣装
aespaやIU、NiziU、ITZYなどのコンサート衣装
ENHYPEN「Bite Me」衣装
SHINee キー「Gasoline」衣装など。
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ソ・スンヨンさんが手掛けた衣装の数々を見ることができます!
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K-POPアイドルの衣装が作られる過程
①コンセプトをデザインに起こす
新曲やコンサートを控え、コンセプトを固めた事務所とアーティスト、スタイリストたちの意見を聞き、それをデザインに起こします。デザイナー自身が、コンセプトを理解するために自ら勉強をすることも。
②着用感を調整
アイドルの衣装で最も重要なのは、着用感。衣装がパフォーマンスの邪魔になるようなことがあってはいけないのです。コンサート衣装でよく見る宝石で装飾された衣装は、実はかなり重いのだとか。そのため、デザイナーたちが何度もその衣装を羽織って重さをこまめにチェックしながら制作していきます。
また、デザイナーたちは衣装がパフォーマンスの妨げにならないか確認するため、動線や振付までチェックするといいます。マイクにパーツ同士がぶつかる音が入らないように、髪の毛や他メンバーの衣装に引っかからないように・・ アイドルたちの動きやすさと美しさを同時に実現するため、念入りなチェックを行います。
③メンバーごとの個性を活かしたデザインに
メンバー数が多いグループの場合、それぞれのメンバーの個性や魅力が際立つような衣装を制作しなければなりません。
「数年前までは、ひとつのデザインでスクールルックのように全員が同じ衣装を着るのが流行でした。しかし今はメンバーそれぞれが違うデザインの衣装を着るのが主流なので、デザイナーは大変です。色やデザインや質感すべて考えながら、メンバー一人ひとりのためにデザインをしています」
ソ・スンヨンデザイナーが明かすビハインドエピソード
aespa カリナのチェックスカート
aespa カリナにタータンチェックのスカート衣装を作ることになったソ・スンヨンデザイナー。使いたいタータンチェックのイメージは決まっていたものの、その素材がすぐに手に入らなかったといいます。期日まで日にちがほとんどなかったため、古着屋でブランドのパンツ(数十万円相当)を買い、それを切り取って作ろうかと考えていたといいます。しかし、意外なところで理想のタータンチェック生地が見つかります。それは、ソウル・東大門の卸売市場。格安のマタニティ服にソ・スンヨンデザイナーが望んでいたタータンチェックが使われていたのです。カリナの高級感あふれる衣装は、卸売市場のマタニティ服という意外な素材から作られていたのでした。
女性服の素材を着る決断をしたBTS
元々はウェディングドレス専門のデザイナーだったソ・スンヨンさんですが、2015年、少女時代「Lion Heart」の衣装を手掛けたことをきっかけにK-POPアイドル衣装の依頼が多く入るようになったといいます。ウェディングドレスの要素がたっぷり詰め込まれた華やかな衣装は、当初は女性アイドルが身に着けることがほとんどでした。そんな衣装を最初に着た男性アイドルがBTS。ソ・スンヨンデザイナーは当時を振り返って「非常に破格的な挑戦でした。私が破格的だったというよりは、それを着なければいけないアーティストの破格的な決断力。何か新しいものを提示した時、それを受け入れられる決断力も、私はすごくありがたく思っています」と述べています。
以上、K-POPアイドルの衣装制作にまつわる裏話を紹介しました。OdiOdiではK-POPアイドルや、韓国の芸能人の「美」に関する記事を、たくさん執筆しています。関連記事も下に掲載しているので、ぜひチェックしてみてください!
私がやったことのないコンセプトを持ってきたグループに、aespaというグループがあります。正直、最初は少し難しかったです。未来的でありながらもその中に少しレトロさもあって。最初からストーリーがしっかりしていたので、その世界観に関する勉強をものすごくしてから衣装のデザインを始めました。